初孫「企業イメージCM」<クロマツ>篇

 
写真家 小川勝久
「庄内砂丘クロマツ林を撮る」CM製作にこめた思い



クロマツ林
私たちの蔵がある緑あざやかなクロマツ林。日本海に沿う砂丘地の飛砂を防止するために多くの先人たちが私財を投じて植林を行ってきました。ここ酒田の地では、大地主である本間家の植林が公益的にも有名ですが、本間家のほかにも、それぞれの地域の篤農家が長い時間をかけて困難な植林作業と格闘してきた歴史があります。


厳しい自然と風害との格闘から育まれてきたクロマツ林は、砂の害から庄内平野の田畑を守り、地域の自然環境と農産物の恵みを人々に与えてきました。実際、クロマツ林の姿を見つめると多くの幹は東側に斜めに傾斜しているのを目の当たりにします。それだけ北西の風が強い土地柄なのです。まさに、地域の風土と自然の恵みをもたらす重要な役割をしているのです。

蔵の周辺に広がる四季折々のクロマツ林の風景。日本海に沿って全長30Km以上にわたって続く日本有数のクロマツ林にスポットをあて、私たちの酒造りの考え方を伝えていきたいという願いを込めてコマーシャルフィルムのソフトを製作することにしました。

地元のボランティアの方々が一生懸命にクロマツ林の整備を行う作業をテーマにしようとも考えたのですが、角度を変えて、プロ写真家の目を通して見たクロマツ林の姿を表現してみようという試みを行いました。

小川勝久さん
平成15年5月5日、プロ写真家としてデジカメ分野では草分け的な存在の小川勝久さんが、山形県庄内平野のクロマツ林の下見をしてから私たちの蔵に来社。酒造りの工程をひとつひとつ見学しながら初孫の酒造りの姿勢を説明していくと、小川さんは「日本酒の造りは写真を撮影する作業と非常に相通ずるものがある、人間のこころが大切だ」との感想を述べました。

酒田市十里塚地区のクロマツ林での撮影は5月6日に行い、小川さん自慢の4800万画素のスキャナータイプのデジカメを使用して、早春のクロマツ林の風景を写しました。

私たち初孫の酒造りを自分の体で感じた小川勝久さんは、蔵のあるクロマツ林をカメラのレンズを通して見つめ直したとき「写真という字は、心で写すと訳しています。松林を通り抜ける風にも心を感じます」という言葉を生み出したのです。写す対象をただあるがままに画像にするのではなく、よりいきいきと存在感があるように表現するのが写真家の心がなせる技という意味です。自分の言葉で、その思いを表現したいとの強い意向があり、砂丘でのクロマツ林の撮影を終えた足でそのまま山形市まで行き、小川先生の生の声を収録しました。この声がCMの中の小川さんのナレーションです。
 
小川勝久さん
写真は心の反映するとよく言われますが、醸造される酒も造り手の心と人柄が本当に素直に反映されます。米のデンプンを麹で糖化して、酵母による発酵で糖分をアルコールに変えていくのが日本酒の醸造工程です。しかし、この工程を単純に自然な成り行きにまかせるのではなく、造り手である人間がどんな味わいの酒にしたいのか、こういう飲み方をして楽しんでもらいたいという思いを入れて酒の設計図を作り、それを目標にして発酵と微生物管理を行うのです。ここでは人間の心が重要な役目を果たします。お客様の生活の潤いのために楽しんでもらいたいとの願いを込めて酒造りを行なうのです。造り手の心を感じながら、生活の中で初孫の旨さをこころからじっくり楽しんでもらいたい、それがこのコマーシャルに託したメッセージです。

それから、小川勝久さんのナレーションでは「松林を通り抜ける風にも、心を感じます」のあとに、放映されているCMには入っていませんが、「デジタル時代になっても、写真は心で」という言葉が続いていました。

人間を取り巻く社会の仕組みがコンピュータを中心としたデジタル化の進歩により高度なサービスを享受できることが多くなりました。しかし、その機械の進歩に依存するだけでは良い作品は出来ない、やはり人間の心と感性こそが優れた作品を生み出し、人間の心と感性があってはじめて優れた作品を鑑賞する力をもつということは時代が変わっても変わらない真実です。デジタル写真の第一人者である小川勝久さんのメッセージを通して初孫の日本酒造りの考え方とお客様への味わい方の提案をさせていただいております。



日本の風景を撮り続ける写真家・小川勝久 「庄内砂丘クロマツ林を撮る」CMをご覧になった感想はいかがでしょうか。ご意見をお寄せいただければ幸いです。